SDGs

SDGs経営ガイド 2/4

3 マルチステークホルダーとの「懸け橋」

SDGsは「全員参加」を生み出す

SDGsが示す17の目標は、野心的で普遍的なものであり、企業一社の力で達成できるものではない。
SDGsは多様なプレイヤーの共通言語・結節点であり、「懸け橋」として企業とステークホルダーたちをつないでいく。

「SDGsネイティブ」としてのミレニアル世代

今後、消費者・従業員として、投資家として、そして起業家として、企業をとり巻くステークホルダーの中心となっていくのがいわゆる「ミレニアル世代」である。ミレニアル世代の価値観を捉えることで、SDGs経営の意義がより浮かび上がってくる。

Points
Column 4. ミレニアル世代の価値観

ミレニアル世代(2000年代初頭に成人・社会人になる世代)を対象にした調査では、「事業の成功は財務上のパフォーマンス以外でも測定されるべきだ」と考える人が83%を占めた。 「企業が達成すべきこと」に関する質問では、ミレニアル世代は、「地域社会の改善」や「環境の改善と保護」なども重要と考えている一方、雇用主が「収益の創出」や「効率性の追求」などを優先事項と考えていると見ており、大きなギャップが見てとれる。

出所:デロイトトーマツ「2018年デロイトミレニアル年次調査」より抜粋
出所:デロイトトーマツ「2018年デロイトミレニアル年次調査」より抜粋

SDGsと従業員/消費者

SDGs経営を考えるに当たって、従業員や消費者を無視することはできない。SDGsという共通言語を用いて、従業員のエンゲージメントを高められるか、消費者をいかに惹きつけられるかが問われている。

Points
Practice 1. 持続的な成長のための健康経営支援(東京海上ホールディングス)

東京海上ホールディングスでは、労働力人口が減少する中で企業が持続的な成長を図るためには、「従業員が心身共に健康で働けることが重要」との理念の下、社内のみならず、他社の健康経営支援や顧客の健康増進・生活習慣改善を促す取組を行っている。

持続的な成長のための健康経営支援

「知の総体」としての大学の役割

SDGs達成のために不可欠なイノベーションを興し、ビジネスの力で社会課題を解決していくには、「知」の集積が不可欠である。この観点から、まさに「知」を通じて、よりよい未来社会への貢献を目指す大学を始めとする教育・研究機関は大きな役割を果たし得る。

Points
Practice 2. 産学協創:組織対組織の産学連携(東京大学)

東京大学では、大学の持つ広範な学知と企業のリソースを有機的に結びつける組織対組織の「産学協創」を推進。連携に必要な契約や知財等の管理体制も拡充。
目指すべき未来のビジョン、解くべき問から共に検討し、研究開発から事業化・社会実装まで一体的に協働を進めている。
キャンパス内のインキュベーション施設整備や学生向け起業家育成プログラムの充実など、大学を中心としたベンチャーエコシステムの創出も推進している。

大企業との連携:産学連携から産学協創へ

「連携」はSDGs経営の重要なカギ

SDGsの各目標を達成するためには、企業自身の力に加え、様々なステークホルダーが有する視点と資源が必要となる。マルチステークホルダーと企業の力が調和したとき、課題解決に向けた大きな原動力が生まれる。

Points
Practice 3. 他社との連携によるサステナブルな商品の供給(三菱商事)

消費者が社会・環境面に配慮した「サステナブル」な商品を求める傾向が高まる中、小売店は消費者ニーズに合致する商品をメーカーに求め、メーカーは社会・環境に配慮したサステナブルな原料を生産者に求めている。三菱商事は農産物商社Olam社と連携し、営農指導を通じた生産性向上やITプラットフォームを活用した児童労働の解決、環境負荷の低減を図るなど、サステナビリティを重視したコーヒー豆やカカオ豆を提供することで、社会課題の解決への取組を競争力の源泉としている。

他社との連携によるサステナブルな商品の供給
Practice 4. ESG視点の「よきモノづくり」(花王)

ESGを起点とした、人や地域とのつながりを意識した経営のあり方として参考になるのが花王の考え方である。
「人と人、人と地球、人と社会、のつながりを強めることができれば、結果として売上や利益がついてくる。これができれば、納税、雇用という社会的役割を果たし、従業員やステークホルダーに対して還元することができ、それらをまたモノづくりに回すことができる。」(澤田社長)

私たち(モノづくり企業)のあるべき姿